Title

  • コールセンター固有のマネジメントスキル
  • 離職防止

なぜ、あなたの“OJT”は伝わらないのか? 新人の頭の中に「情報の地図」を描く3つのOJT技術

目次

  1. “素材”の丸投げが、新人の思考を停止させる
  2. 新人の頭の中に「情報の地図」を描く、3つのOJT技術
  3. 技術1:最初に「話の枠組み」を宣言する
  4. 技術2:複雑な説明は、一度書き出して「完成した表」を見せる
  5. 技術3:最後に要約して確認し、「分かった」という成功体験で締めくくる
  6. 「採用と研修の繰り返し」に悩むSV・マネージャーのための、本当の解決策
  7. 新人オペレーターが辞めない組織を作る「定着率改善」実践プログラム

Content

あなたのOJTを「情報の丸投げ」から「完成した地図を渡す」作業へ。コールセンターの新人育成で明日から使える、具体的な3つの技術とは?新人の自信と学習意欲を高め、最速で戦力化するためのOJTの秘訣を公開します。

「良かれと思って丁寧にOJTをしたのに、新人がなかなか覚えてくれない…」
「同じことを何度も聞かれると、つい『この前も教えたよね?』と強い口調になってしまう…」

コールセンターで新人育成に携わるSVや先輩社員の方々から、こうした「教えることの難しさ」に関する悩みを本当によく耳にします。手塩にかけて時間を割いているのに、なぜか手応えがない。その裏で、教わっている新人は「自分の覚えが悪いせいだ…」と自信を失い、人知れず退職を考えているとしたら…。

この悲しいすれ違いの根底には、多くの方が気づいていない、OJTにおける決定的な「落とし穴」が存在します。それは、情報を分かりやすく整理・構造化する作業を、無意識のうちに新人オペレーターに丸投げしてしまっているという、指導者側の問題です。

今回は、この構造的な問題を解き明かし、新人の心を折らずに成長を促す、具体的なOJTの技術についてお話ししたいと思います。

“素材”の丸投げが、新人の思考を停止させる

あなたのOJTは、新人にとって「親切なガイド付きツアー」になっているでしょうか。それとも、「膨大な資料だけを渡され、一人で登山をさせられている」状態に近いでしょうか。

多くの場合、うまくいかないOJTは後者です。指導者は、自分が持っている知識…いわば料理の“素材”を、善意から惜しみなく新人に提供します。しかし、新人が本当に知りたいのは、素材の一つひとつの味ではなく、それらがどう組み合わさって美味しい料理になるのかという「完成図(レシピ)」なのです。

例えば、ある決済システムの操作方法を教えるOJTを想像してみてください。

「えーと、まずこのボタンを押して、顧客情報を検索して、次にタブを切り替えてカード情報を…あ、でもキャンペーン対象のお客様の場合は、先にこっちの画面でフラグを立てないとエラーになるから注意して…」

一つひとつの情報は正しくとも、これでは情報の“素材”をバラバラに投げつけているだけです。新人の頭の中は情報の断片で溢れかえり、何が重要で、どのような順番で、なぜそうするのか、という繋がりが全く見えません。

この「情報の地図」がない状態でOJTを続けることは、新人に「今から私が言う材料を使って、ご自身でマニュアルを作ってください」と、最も困難な作業を強いているのと同じなのです。この状態が続けば、新人は思考を停止させ、「言われたことだけをやる」か、あるいは「自分にはこの仕事は無理だ」と諦めてしまうかの、どちらかの道を辿ることになります。

新人の頭の中に「情報の地図」を描く、3つのOJT技術

では、どうすれば私たちは新人に、分かりやすい「情報の地図」を手渡せるようになるのでしょうか。これは才能ではなく、トレーニングで習得できる「技術」です。今日から実践できる3つの具体的な方法をご紹介します。

技術1:最初に「話の枠組み」を宣言する

いきなり詳細を話し始めるのではなく、まず「これから何について、いくつのポイントで、どれくらいの時間で話すのか」という全体像、つまり話の“枠組み”を提示しましょう 。

例えば、実際の新人研修プログラムにある「保留転送応用」のOJTを始める際、いきなり「じゃあ、まず保留ボタンを押して…」と始めるのではありません。

「今日のOJTでは、少し難しい保留転送の応用を学びます。目的は『お客様を不安にさせない、スムーズな取次ぎ』ができるようになること。ゴールは『3パターンの応用操作を一人でできるようになる』ことです。時間は30分。まず5分で概要を説明して、次に15分で私のデモを見てもらい、最後に10分で一緒にやってみましょう。」

このように、話の地図を最初に渡すことで、新人は頭の中に情報の「受け皿」を用意でき、安心して話を聞く体制に入れるのです。

技術2:複雑な説明は、一度書き出して「完成した表」を見せる

特に複雑な案内を教える前には、指導者自身が、実際に紙やメモ帳に簡単な「表」を書き出し、それを見せながら教えるトレーニングが極めて有効です。

例えば、「複数キャンペーンの適用条件」といった、条件分岐が多い項目を教える場合。口頭だけで「Aプランで、かつBオプションに加入済みで、さらにCの条件を満たす場合は…」と説明されても、新人は確実に混乱します。

そうではなく、「複雑だから、一度紙に書くね。『プラン』『オプション』『期間』という3つの条件がどうなれば適用OKか、表にしてみよう。」と言って、実際に書き出したシンプルな表を見せながら説明する。この物理的な作業が、教える側の頭の中を驚くほどクリアにし、OJTの質を劇的に向上させます。

技術3:最後に要約して確認し、「分かった」という成功体験で締めくくる

一通り教え終えたら、必ず指導者側で要点をまとめ、新人の認識が合っているかを確認するステップを入れましょう。

「今日のポイントをまとめると、お客様を待たせないために一番大事なのは、転送する前に『〇〇』を準備しておくことだったけど、この理解で合ってるかな?」

この確認作業は、単なる認識合わせではありません。新人に対して「あなたは、ちゃんと理解できましたよ」というメッセージを伝え、「分かった」「できた」という小さな成功体験をプレゼントする、非常に重要なコミュニケーションなのです。この成功体験の積み重ねこそが、新人の自信を育み、学習意欲を高めるのです。

「採用と研修の繰り返し」に悩むSV・マネージャーのための、本当の解決策

ここまで、「伝わるOJT」の具体的な技術についてお話ししてきました。しかし、これらはあくまで対症療法にすぎません。なぜなら、どれだけ優れたOJT技術をSV個人が持っていても、それだけで新人の離職は止まらないからです。

効果的なOJTは、新人が安心して働ける環境を構成する「仕組み」の一部にすぎません。本当の問題は、OJTのプログラムそのものが場当たり的であったり、使うマニュアルが分かりにくかったり、新人が質問しにくいチームの文化があったりと、新人を取り巻く環境全体が、有機的に連携していないことにあるのです。

私たちWanderinConsultingは、この根深い課題を根本から解決するため、コールセンターの現場から生まれた専門的なプログラムをご提供します。

新人オペレーターが辞めない組織を作る「定着率改善」実践プログラム

私たちのプログラムでは、まずPhase 1: 診断フェーズにおいて、貴社のOJTの進め方や研修プログラム、マニュアルなどを徹底的に分析し、離職の根本原因を特定します。そして、Phase 2: 計画フェーズPhase 3: 実行支援フェーズを通じて、OJTプログラムの再構築や、本記事でご紹介したような指導技術を全マネージャーが実践できるようなトレーニングまでを一気通貫で提供し、貴社に「人が定着する仕組み」そのものを構築します。

私たちのコンサルティングは、単なる「コスト」ではありません。企業の財務的損失を食い止め、未来の成長に繋がるリターンが明確な「投資」です。初回のご相談では、貴社の状況に合わせたROI(投資収益率)シミュレーションもご提示可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立

保有資格

  • DX推進パスポートDX推進パスポート
  • JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)
  • COPC LEAN SIX SIGMA FOR CONTACT CENTERS YELLOW BELT CERTIFIEDCOPCリーンシックスシグマイエローベルト
  • コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
  • ビジネスキャリア検定(労務管理)
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    制定日2024年2月1日

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