Content
「ルールを守らないからミスが起きる」と嘆く前に、そのルールは全員が同じ結果を出せる「本当の型」になっていますか?元コールセンター長が、現場の反発(細かすぎて書ききれない等)を泥臭く乗り越え、属人化を解消するためのOps構築のリアルを解説します。
「うちの現場にはちゃんとルールがあるのに、メンバーが守らないからミスが起きるんです」
コールセンターの現場を15年以上見てきた中で、あるいは外部から現場の改善に入らせていただく中で、現場のマネージャーやSVから何度となく聞いてきた言葉です。
しかし、その「ルール」とやらが書かれたマニュアルを実際に見せてもらうと、ほとんどの場合ある事実に気づきます。結論から言うと、「マニュアルに記載されている事を遵守すれば、業務が完璧に行える状態」になっている現場は、ほぼ無いと言っていいのが現実です。
■ その「ルール」、本当にルールと呼べますか?
現場でトラブルが起きるたびに「ルールを守れ」と言いますが、そもそもそれは本当に「ルール」と呼べるのでしょうか?
私が過去に現場のSV向けに行った研修資料の中に、こんな一文があります。
「マニュアル(ルール)とは、作業する人全員が同じ結果を出せるようにするもの。複数の人が同じ作業を行えないなら、それは属人的な仕事の仕方になっている」
つまり、
- 誰が見ても分かるように可視化されているか?
- 全員に共有されているか?
- 誰がやっても同じ結果になる(再現性がある)か?
この3つを満たしていなければ、それは組織のルールではありません。
ただ単に、「経験豊富なベテランの頭の中にだけある『私のやり方』」に過ぎないのです。それを「ルール」と呼んで新人に押し付けるから、教える人によって言うことが変わり、現場が混乱します。
■ 現場からの100%の反発「細かすぎて書ききれません!」
この「頭の中のやり方」を、誰もが同じ結果を出せる本当のルール(型)に落とし込みましょう、と現場に提案すると、どうなるか。
「イレギュラーが多すぎて、細かすぎて書ききれません!」
この反発が、ほぼ100%返ってきます。
現場が日々どれだけ目の前の電話や処理に追われ、忙殺されているかは痛いほど分かっているので、彼らがそう言いたくなる気持ちもよく理解できます。
では、どうやってこの壁を乗り越えるのか?
「とにかく書け」と上から命令しても絶対に動きません。
私がよくやっていたのは、マニュアルが完成した後の「オペレーターの働き方」を具体的にイメージさせることです。
マニュアルの最大の目的は「オペレーターがいかに悩まず、ダイレクトに作業ができるようにするか」です。
「これを整理すれば、新人さんが毎回あなたに質問しに来なくて済むよ」
「迷う時間がなくなって、ミスもクレームも減るから、結果的にあなたの残業が減るよ」
と、ルール化することが彼ら自身のメリットになる未来を想像してもらいます。
■ 結局は、泥臭く「ゼロイチ」をやるしかない
しかし、どれだけ言葉で理想のイメージを伝えても、日々の忙しさに忙殺されている現場のリーダーを説得するのは容易ではありません。
コンサルタントが書くビジネス書なら「ここで現場の意識が変わり、自走する組織になりました!」と綺麗にまとまるのでしょうが、現実はそんなに甘くありません。
どうしても動けない、あるいはイメージが湧かない現場に対しては、結局、私自身が手伝って「ゼロからイチ(たたき台)」を作ることが何度もありました。
私がたたき台を作り、「こういうことですか?」と見せて初めて、「あ、ここはこう直した方がいいですね」と現場のペンが動き出す。現場のオペレーション(業務プロセス)構築というのは、そういう泥臭い作業の繰り返しなのです。
「ルールがある」と言うのは簡単です。
しかし、それが本当に「誰もが再現できるルール」になっているか?
それとも「ベテランの頭の中にあるだけの暗黙知」になっていないか?
これからAIを導入しようとしている企業も多いと思いますが、AIも人間と同じで、可視化されていない「隠れたルール」は読み取れません。
新しいツールを入れる前に、まずは自社の現場の「自称ルール」を疑い、泥臭く可視化すること。それが、属人化を抜け出すための、遠回りに見えて一番確実な第一歩です。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)



の画面-1-300x300.png)


