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なぜ地方のコールセンターでは求人広告を出しても応募が来ないのか。全国の自治体訪問と自らの経験で得た知見をもとに、地方特有の「親・学生・地域のクチコミ」が雇用に与える影響を分析。都会の正論を捨て、現場の業務プロセス改善によるES向上こそが最強の採用施策であることを解説します。
現在、日本中のコールセンターが人材不足に喘いでいますが、特に地方拠点が抱える「採用が進まない」という悩みは深刻です。
私はこれまで、コンサルタントとして全国各地の自治体を訪問し、現場の運用状況を直接伺ってきました。そこで目にしたのは、同じような人口規模、同じような時給設定であるにもかかわらず、「常に人が集まるセンター」と「求人を出しても無風のセンター」に二極化しているという残酷な現実でした。
■ 誰も応募してこない「職業体験」の裏側
採用難に直面した際、多くの企業は都会での定石、いわば「都会の正論」を地方に持ち込みます。
Web求人サイトのブラッシュアップ、ハローワークとの連携、あるいは自治体と組んだ職業訓練や学生向けの職業体験イベント……。一見、隙のない施策に見えます。
しかし、現実は厳しいものです。学生向けの企業説明会に出展しても、学生やその親たちが熱心に耳を傾けるのは、古くからその土地に根を張る地元企業ばかり。どれほど最新の設備や働きやすさを謳っても、そもそも「土俵」にすら乗せてもらえない。そんな光景を目にしてきました。
なぜ、正論が通じないのか。それは地方の雇用において、Web上の情報よりも圧倒的に強力な、「目に見えないクチコミ」というインフラが存在するからです。
■ 地域のコミュニティに「良き隣人」として認知されているか
地方において、コールセンターは単なる職場ではなく、地域コミュニティの一部です。
「あそこのセンターは雰囲気が良いらしい」「あそこは子育てに理解がある」。こうした近所付き合いや親戚同士の会話で交わされる生きた情報こそが、地方における最強の求人媒体となります。
逆に、一度でも「あそこは人がどんどん辞めていく」「現場がピリピリしている」という噂が立てば、どれほど求人広告に予算を投じても、地域の人々の選択肢からは完全に排除されてしまいます。近場に新しいセンターができれば、熟練スタッフが雪崩を打って移籍してしまう。その根底にあるのは、給与条件の差だけではなく、「現場の評判」の差なのです。
■ 採用に投資する前に、現場のES(従業員満足)を整える
地方での採用を本気で立て直すなら、外向きの宣伝を増やす前に、内側の「業務プロセス」を徹底的に磨き上げるしかありません。
オペレーターが無理なく習熟できるマニュアル、SVが余裕を持ってサポートできる体制、そして「この仕事なら、知り合いにも勧められる」と思える現場の空気。こうしたESの向上が、巡り巡って地域での「良きクチコミ」となり、結果として最もコストパフォーマンスの高い採用活動に繋がります。
「都会の正論」が効かない場所では、現場を整えるという「急がば回れ」の戦略こそが、唯一の正攻法になるのです。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)






