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  • コールセンター固有のマネジメントスキル
  • コールセンターシステム
  • 業務改善
  • 離職防止

高機能なツールを入れたのに、なぜ現場は楽にならないのか? ベンダーとユーザーの間に横たわる「ボタンの掛け違い」

目次

  1. 実話1:「機能は完璧なのに、導入できなかったRPA」
  2. 実話2:「ベンダーのマニュアル」は、現場の言葉ではない
  3. ベンダーとユーザーの間に横たわる「空白地帯」
  4. 「空白」を埋めるのは、ツールではなく「人」

Content

「最新ツールを入れたのに、かえって現場が疲弊している…」その原因は機能不足ではありません。ベンダーとユーザーの間に横たわる「空白地帯」と、DX成功に不可欠な「導入前の土壌作り」について、実体験をもとに解説します。

「最新のAIツールを導入しました!これで工数は半減するはずです」

経営層やDX推進室は高らかに宣言します。しかし、数ヶ月後の現場。

「…これ、入力項目が増えただけじゃない?」

「AIの要約が信用できないから、結局全部聞き直してるよ」

最新ツールが入ったはずなのに、現場は以前より疲弊し、生産性は上がっていない。それどころか、「使いこなせない現場が悪い」という空気になり、SVとオペレーターのモチベーションは下がる一方…。

私はこれまで、そんな「不幸なDX」を数え切れないほど見てきました。なぜ、高額な投資をしたのに、現場は楽にならないのでしょうか?

その原因は、ツールの機能不足ではありません。

私のサラリーマン時代の実体験をお話ししましょう。そこに答えがあります。

実話1:「機能は完璧なのに、導入できなかったRPA」

かつて私がいた現場で、業務効率化のためにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールを導入しようとした時の話です。

ベンダーのプレゼンを聞き、デモを見ました。機能は申し分ない。「これなら定型業務を自動化できる」と確信しました。しかし、結論から言うと、導入は「断念」しました。

なぜか?

RPAを動かすためには、その前段階として「今の業務プロセスをすべて可視化し、ロボットが動けるように手順を標準化する」という膨大な「下準備」が必要だったからです。当時の私たちには、その「下準備」に割く人手も時間も、そしてノウハウもありませんでした。

「便利な道具を買うお金」はあっても、「道具を使うための準備をする体力」が現場にはなかったのです。

実話2:「ベンダーのマニュアル」は、現場の言葉ではない

また、あるクラウド型のファイル管理ツールを導入した時のことです。

ベンダーからは立派な「操作マニュアル」が提供されました。しかし、それをそのまま現場に渡しても、誰も使いこなせませんでした。

なぜなら、現場の社員のITリテラシーはバラバラであり、ベンダーが書く「一般的な用語」では理解できなかったからです。

結局、どうしたか。

私が、社内の「常識」や「文化」に合わせた言葉で、独自のマニュアルをゼロから作り直しました。

「ファイルをアップロードする」ではなく、「いつものあの帳票を、この箱に入れる」と翻訳して初めて、現場は動き出したのです。

ベンダーとユーザーの間に横たわる「空白地帯」

この2つの経験から言えること。

それは、ベンダー(売り手)とユーザー(買い手)の間には、誰も埋めようとしない巨大な「空白地帯」があるということです。

ベンダーは言います。

「機能は提供しました。マニュアルも渡しました。あとは御社で活用してください」

ユーザー(現場)は言います。

「業務の整理なんてできないし、マニュアルは難しくて読めません」

この「ボタンの掛け違い」を放置したまま導入を強行すれば、事故(運用崩壊)が起きるのは当たり前です。多くの企業では「ツールを買えば、勝手に業務が楽になる」という幻想を抱いたまま、この「空白地帯」を飛び越えようとして、谷底に落ちていくのです。

「空白」を埋めるのは、ツールではなく「人」

では、どうすれば成功するのか?答えはシンプルです。

「ツールを入れる前に、土壌(組織)を耕すこと」です。

  • RPAを入れる前に、泥臭く業務フローを書き出し、無駄を削ぎ落とす(可視化)。
  • マニュアルを渡す前に、現場のITリテラシーに合わせて「言葉」を翻訳する(定着支援)。

この「泥臭い人の手による準備」なくして、DXの成功はありません。

ベンダーの皆様

「機能はいいのに、なぜか導入が進まない、解約される」とお悩みなら、顧客がこの「下準備」で躓いていないか、見てあげてください。

ユーザー企業の皆様

「ツールを入れたのに効果が出ない」とお嘆きなら、ツールのせいにする前に、自社の「受け入れ態勢」を見直してみてください。

AIやツールは、あくまで「道具」です。それを使いこなし、価値を生み出すのは、いつだって現場の「人」なのです。

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立

保有資格

  • DX推進パスポートDX推進パスポート
  • JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)
  • COPC LEAN SIX SIGMA FOR CONTACT CENTERS YELLOW BELT CERTIFIEDCOPCリーンシックスシグマイエローベルト
  • コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
  • ビジネスキャリア検定(労務管理)
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    WandarinConsulting(ワンダリンコンサルティング)
    永久 圭一

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    電話番号:050-5897-5849
    Eメールアドレス:nagaku@wanderinconsulting.com

    制定日2024年2月1日

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