Content
完璧なマニュアルほど現場で使われない理由とは?「現場はマニュアルがなくても回っている」という不都合な真実と、大手コンサルの理想論が失敗するメカニズムを解説。必要なのは作成代行ではなく、現場の暗黙知を言葉にする「翻訳」です。泥臭い業務可視化の秘訣を公開。
BPOやコンサルティングの現場に入ると、クライアントから「これが業務マニュアルです」と、立派で分厚いファイルを渡されることがあります。
しかし、現場のスタッフに話を聞くと、そのマニュアルはほとんど開かれておらず、書棚の肥やしになっている……そんな光景を何度も見てきました。
内容は網羅的で、体裁も整っています。それなのに、なぜ現場では「使えない」と判断されてしまうのでしょうか?
その理由は、情報の鮮度や見やすさ以前に、もっと本質的な部分にあります。
それは、「現場のスタッフが、自分たちの言葉で作ったものではないから」です。
「正しさ」と「分かりやすさ」は違う
外部の専門家や本社が作成するマニュアルは、往々にして「完璧」です。業務フローは論理的で、リスク管理も万全。「あるべき姿(To-Be)」が見事に描かれています。
しかし、現場で日々電話を取り、チャットを返しているスタッフにとって、その「完璧な理想図」は、自分たちの現実(As-Is)と乖離しすぎています。
使われている用語が微妙に違ったり、現場特有の「あうんの呼吸」が抜け落ちていたりするため、読んでも頭に入ってこないのです。
「使いやすいマニュアル」の定義とは、体裁が美しいことではありません。
「その現場にいるスタッフが、直感的に理解し、動けること」。これに尽きます。
そのためには、マニュアル作成は外部から持ち込むのではなく、現場の人間が主体となって作る「ボトムアップのアプローチ」が不可欠です。
なぜ、現場は自らマニュアルを書かないのか?
では、現場に作成を任せれば解決するかというと、そう簡単ではありません。
「忙しいから」「スキルがないから」という声も上がりますが、私が多くの現場で見てきた「書かない本当の理由」は別にあります。
それは、「マニュアルがなくても、現状なんとなく回ってしまっているから」です。
特にリソースが限られた現場では、目の前の業務を止めることはできません。「属人化していても、ミスなく回っているならそれでいい(マニュアル作成の優先度は低い)」という生存バイアスが働きます。
この「なんとなく回っている」状態こそが、組織が拡大するフェーズでボトルネックとなり、ある日突然、エース社員の退職と共に破綻するのです。
「作成」ではなく「翻訳」を支援する
我々のような外部のコンサルタントができる最良の支援は、現場に代わって綺麗なマニュアルを作ることではありません。現場が持っている「暗黙知」を吸い上げ、彼ら自身の言葉で形式知にするための「翻訳」と「壁打ち」です。
- インタビュー: 「いつもどう判断していますか?」と現場の知恵を聞き出す。
- 構造化: それを論理的な形(骨子)に整理する。
- 現場監修: 「この表現で合ってますか?」と現場に戻し、彼らの言葉で仕上げる。
スタート地点は、理想のフロー図ではなく、「今の現場の現実(As-Is)」です。そこから一歩ずつ、現場が「自分たちのものだ」と思えるマニュアルを一緒に作り上げていく。
遠回りに見えますが、この泥臭いプロセスを経たマニュアルだけが、結果として現場に定着し、属人化を解消する唯一の武器になります。
「マニュアルはあるけれど、誰も使っていない」
もしそんな状況であれば、一度「作り方」そのものを見直してみませんか?現場の声を聞くところから、お手伝いさせていただきます。
【無料相談受付中】
現場の「なんとなく」を言語化し、組織の資産に変えるご支援をいたします。 Ops構築や業務可視化について、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)







