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「文化が合わない」と優秀な新人が去る時、組織は年間500万円もの損失を抱えているかもしれません 。根性論の古株とロジック派の新人の断絶は、精神論ではなく「ロジカルな運用スキーム」という武器で解消できます。組織の自走化を支援するコンサルタントが明かす、3ヶ月で「辞めない組織」へと変革する戦略的ソフトランディングの手法 。
1. はじめに:ベンチャーにつきまとう「生存者バイアス」の罠
急成長中の企業において、組織が30〜50人の壁を超えたあたりで必ず発生する現象があります。
それは、「創業期のカルチャー(熱量)」と「新たに入ってきた人材」のミスマッチです。
創業期を生き残ってきたメンバー(古株)は、良くも悪くも「根性」や「気合い」で数々の修羅場を乗り越えてきた成功体験を持っています。そのため、どうしても似たような思考(根性論肯定派)の人間が残り、組織文化は同質化していきます。
そこへ、事業拡大のために「ロジカルでドライな優秀層」を採用するとどうなるか?
新人は入社早々、暑苦しいほどの精神論や非効率な慣習に直面し、「ここは自分がいる場所じゃない」と疎外感を感じます。そして数ヶ月もしないうちに、音もなく去っていきます。
こうして組織には再び「根性論」だけが残り、事業のステージを変えるための新しい血が入らないまま、成長が鈍化していくのです。
2. 上司(古株)の性格は変えられない。だから「仕組み」を変える
この断絶を前にした時、多くの人事や経営者は「古株の意識改革」をしようと研修などを行いますが、人の意識はそうそう変わりません。まして、成功体験を持つ人間の性格や考え方を、外から変えることはほぼ不可能です。
私が現場で行った解決策は、真正面からの説得ではなく、「運用スキーム(武器)」の持ち替えを提案することでした。
具体的には、根性論でマネジメントしようとする上司に対し、
「やり方は任せます」と放任するのではなく、
「この新しいロジカルな運用スキーム(管理シートやKPI管理手法)を試してみませんか?」
と、あくまで“ツール”としてロジカルな手法を手渡しました。
ポイントは、彼らの「熱量」を否定しないことです。「あなたの熱意は素晴らしい。それをさらに活かすために、この武器(ロジック)を使えばもっと楽に成果が出ますよ」という見せ方で、じわじわと行動変容を促しました。
結果が出始めれば、彼らも合理的であることの優位性を認めざるを得なくなり、自然と組織の風土がロジカルなものへとスライドしていきます。
3. 新人の「防波堤」になる
一方で、組織が変わるまでの過渡期において、ロジカルな新人が潰れないようにするためのケアも必須です。
私が意識したのは、「共感とビジョンの共有」です。孤立しがちな新人に対し、
「今のこの会社の文化(根性論)が、君にとって違和感があるのは分かっている(共感)」
「でも、私は今こういう意図で、組織をロジカルな方向へ変えようとしている(ビジョン)」
と、「私がやろうとしていること」を密に共有し続けました。
「分かってくれている人がいる」「このカオスは一時的なもので、変えようとしている意志がある」と伝わるだけで、新人の心理的安全性は確保され、彼らは組織変革のパートナーとして踏みとどまってくれるようになります。
4. 結論:異なる文化を繋ぐのは「対話」ではなく「戦略」
「古株」と「新人」の溝は、飲み会やイベントなどの「対話」だけでは埋まりません。必要なのは、「新しいやり方(ロジック)の方が成果が出る」という事実を積み上げる戦略です。
もしあなたの組織で、優秀な新人が「文化が合わない」と言って辞めているなら、それは単なるマッチングミスではなく、「過去の成功体験(根性論)」が亡霊のように組織を支配しているサインかもしれません。
熱量のある古株を否定せず、ロジカルな新人を殺さず、両者を「仕組み」で融合させる。そんな泥臭い組織の軟着陸(ソフトランディング)こそが、次の成長フェーズへ進むための必須条件です。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)






