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  • コールセンター固有のマネジメントスキル
  • コミュニケーションのしくみ
  • 業務改善

「解決率」は高いのに「満足度」が低いパラドックス。日本人の“おもてなし心”を満たす、AIの『無限の忍耐力』という価値

目次

  1. 「解決した」の裏側に潜む「5%のモヤモヤ」
  2. サービス提供者にすら「気を使う」日本人
  3. AIの最大の価値は「スピード」ではなく「鈍感力」
  4. 「人を減らすAI」から「納得を生むAI」へ

Content

チャットボットで「解決率」は上がったのに、なぜ「顧客満足度」は下がるのか?その原因は、日本人特有の「遠慮」文化にありました。AIの価値を「スピード」ではなく「無限の忍耐力」と定義し直し、顧客の『気兼ね』を解消する新しいCS戦略について解説します。

先日、コールセンタージャパン紙を読んでいて、非常に興味深い文章を目にしました。

「AIチャットボットを導入して自己解決率は上がったが、顧客満足度(CSAT)は上がっていない。むしろ下がっているケースすらある」

多くの企業が「効率化」と「解決率」を追い求めてAIを導入している中で、なぜこのような逆転現象が起きるのでしょうか。数字上は「解決」しているはずのお客様が、なぜ心の中では「満足」していないのか。その原因を深掘りしていくと、私たちが「解決」と「満足」を混同していること、そして日本人特有の「ある国民性」を見落としていることに気づかされます。

今回は、AI時代のCSにおける「おもてなし」の再定義についてお話しします。

「解決した」の裏側に潜む「5%のモヤモヤ」

そもそも、アンケートにおける「解決しましたか?(Yes/No)」という問いには大きな罠があります。

例えば、あなたが家電製品の操作でつまづき、チャットボットに問い合わせたとします。ボットは即座にマニュアルの該当ページを提示し、「手順はこちらです」と回答します。あなたは書かれた通りに操作し、とりあえず動くようになりました。

ボットは聞いてきます。「これで解決しましたか?」

あなたはボタンを押します。「はい(解決した)」

しかし、あなたの心の中は本当にスッキリしているでしょうか?

  • 「手順はわかったけど、また同じエラーが出たらどうしよう?」
  • 「書いてある専門用語の意味が少し不安だけど、まあ動いたからいいか…」

この「解決はしたけれど、腹落ちしきっていない状態(残り数%のモヤモヤ)」こそが、満足度が上がらない原因です。

機械的に処理された「解決」の積み重ねは、決して「感動(満足)」には繋がらないのです。

サービス提供者にすら「気を使う」日本人

ここで、さらに問題を複雑にしているのが、日本人特有の「気遣い」の文化です。もし相手がAIではなく、人間のオペレーターだったとしても、多くの日本の消費者はこう考えます。

  • 「こんな初歩的なことを何度も聞いたら、頭が悪いと思われるんじゃないか」
  • 「電話口の向こうも忙しそうだから、細かいニュアンスの確認は我慢して手短に終わらせよう」

驚くべきことに、お客様はお金を払ってサービスを受けている立場であるにも関わらず、提供者側(オペレーター)に「遠慮」をしているのです。

私が現場で見てきたハイパフォーマーのオペレーターたちは、この「お客様が遠慮して飲み込んだ言葉」を汲み取る能力(察する力)がズバ抜けて高い人たちでした。しかし、全てのオペレーターにそのスキルを求めるのは酷ですし、そもそもお客様が「気を使っている」時点で、それは「究極のリラックス状態(おもてなし)」とは言えません。

AIの最大の価値は「スピード」ではなく「鈍感力」

ここで、AIの出番です。

AIの強みは「24時間365日対応」や「即答性」だとよく言われますが、私は別の側面に注目すべきだと考えています。それは、「どれだけ同じことを聞かれても、どれだけ初歩的な質問をされても、絶対に嫌な顔をせず、疲れない(無限の忍耐力)」という点です。

相手が機械であれば、お客様は「遠慮」する必要が一切ありません。

  • 「さっきの説明、もう一回詳しく教えて」
  • 「こういう場合はどうなるの?」
  • 「この用語の意味は何?」

人が相手なら躊躇してしまうような「納得いくまでの深掘り」を、AI相手なら気兼ねなくできる。これこそが、気使いな日本人にとっての「真の心理的安全性」になり得るのではないでしょうか。

「人を減らすAI」から「納得を生むAI」へ

これまでのAI導入は、あまりにも「効率化(いかに早く終わらせて、人を減らすか)」に偏りすぎていました。

「早く解決させて、早くチャットを閉じさせる」ような設計では、お客様の中に「冷たくあしらわれた」という印象と「モヤモヤ」が残るのは当然です。

これからのCSは、AIを「お客様が納得するまで、何時間でも付き合ってくれる専属パートナー」として再定義する必要があります。

  • 質問に対して、単に答えを返すだけでなく「関連してこういった疑問を持つ方も多いですが、知りたいですか?」とAIから水を向ける。
  • 「何度でも聞いてください」というスタンスをUI(画面設計)で表現する。

そうやって「気兼ねなく聞けるAI」で95%の疑問と不安を解消し、それでも残る「人間にしか汲み取れない微妙なニュアンス」や「感情的な寄り添い」だけを、プロのオペレーターが担う。

この「AIによる遠慮の解消」と「人による察する力」の住み分けこそが、解決率と満足度を両立させる道です。

皆さんの組織のAIは、お客様を「早く処理する」ために動いていますか?
それとも、お客様の「気兼ね」を取り除くために動いていますか?

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立

保有資格

  • DX推進パスポートDX推進パスポート
  • JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)
  • COPC LEAN SIX SIGMA FOR CONTACT CENTERS YELLOW BELT CERTIFIEDCOPCリーンシックスシグマイエローベルト
  • コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
  • ビジネスキャリア検定(労務管理)
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    制定日2024年2月1日

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