Title

  • コールセンター固有のマネジメントスキル
  • ヒューマンマネジメント
  • 業務改善
  • 離職防止

「俺の背中を見て覚えろ」は、もう通用しない。トップ営業の“暗黙知”を可視化したら、新人の「個性」が開花する話

目次

  1. 1.はじめに:なぜ「できる営業」ほどマニュアルを嫌うのか?
  2. 2. 「オーダーメイド」という名のブラックボックス
  3. 3. 「脳内の地図」を外に出す器を作る
  4. 4. マニュアルがもたらした「安心感」という革命
  5. 5. 結論:「能動的な人材」を見極めるために

Content

「営業はセンス」と属人化を放置していませんか?トップ層の“暗黙知”を可視化し「型」を作ることは、新人の個性を奪うのではなく、むしろ開花させる土台となります。マネージャーを疲弊から解放し、3ヶ月で「人が定着する仕組み」を築くための、現場から逆算した改善のヒントを公開します 。

1.はじめに:なぜ「できる営業」ほどマニュアルを嫌うのか?

「営業はアートだ。マニュアルなんかで型にはめたら、個性が死んでしまう」

多くの現場で、実績のあるマネージャーやトップセールスの方から、こんな反論をいただきます。彼らの言い分はこうです。

「良い営業とは、お客様の状況と自分のキャラクターに合わせて、臨機応変に対応すること(オーダーメイド)だ。だから、業務の定型化(大量生産)なんてナンセンスだ」と。

一見、もっともらしく聞こえます。しかし、数多くの現場を見てきた私には、その言葉の裏にある「別の本音」が透けて見えます。

それは、「自分の仕事の仕方を可視化できない(あるいは、したくない)」という、言語化への恐怖心です。

今回は、そんな「属人化の聖域」となっていた営業プロセスにメスを入れ、あえてマニュアル化した結果、逆にプレイヤーの個性が発揮されるようになった実例をお話しします。

2. 「オーダーメイド」という名のブラックボックス

急成長企業などで「営業は個人のセンス」とされ、育成は基本的にOJT(同行して背中を見せる)のみという話しをよく聞きます。しかし、組織が拡大し、多様な新人が入ってくると、問題が露呈し始めます。

  • 何が正解か分からない不安: 新人は「先輩によって言ってることが違う」と混乱し、いつまで経っても自信が持てない。
  • 「できない」の放置: 売れない原因が「センスがないから」で片付けられ、具体的な改善指導ができない。

マネージャーは「臨機応変にやれ」と言いますが、土台となる「型」を持っていない新人に、応用(臨機応変)などできるはずがありません。結果、メンタル不調による離職が発生します。

3. 「脳内の地図」を外に出す器を作る

私はこういった状況を変えるため、トッププレイヤーたちが無意識に行っている「暗黙知」の標準化に着手しました。しかし、「どうやって売っているんですか?」と聞いても、「うーん、感覚かな」と返ってくるのがオチです。

そこで行ったのが、「脳内の情報を吐き出すための器(コンテナ)」を用意することです。

白紙の状態からヒアリングするのではなく、こちらであらかじめ仮説としての「業務フロー図」や「タスクリスト」を作成し、それを彼らにぶつけました。

「このプロセスの時、頭の中で何を考えていますか?」

「ここでお客様に資料を見せる直前、必ず確認しているポイントはありますか?」

こうして具体的な「器」を用意することで、彼ら自身も認識していなかった「無意識のこだわり」や「勝ちパターン」が次々と言語化されていきました。

4. マニュアルがもたらした「安心感」という革命

こうして完成した「標準化された営業プロセス(マニュアル)」を導入した結果、現場には劇的な変化が起きました。

一番の変化は、新人の「安心感」です。

「ここまではマニュアル通りにやれば、最低限の成果は出る(正解である)」という心理的安全性が確保されたことで、彼らは萎縮することなく顧客に向き合えるようになりました。

そして面白かったのが、「個性の開花」です。

これまでは「どう進めればいいか」という手順の不安に脳のリソースを奪われていた新人が、その部分をマニュアルに任せることで、余ったリソースを「自分らしい提案」や「お客様との関係構築」に全振りできるようになったのです。

「定型化で一定の成果が担保できている安心感こそ、プレイヤーの個性が発揮される源泉になる」

これが、私が現場で得た確信です。

5. 結論:「能動的な人材」を見極めるために

マニュアル化には、もう一つの大きな効能がありました。それは「能動的に仕事ができる人と、そうでない人の切り分けができる」ことです。

「型」があるからこそ、「型通りにやった上で、さらに工夫する人(ハイパフォーマー予備軍)」と、「型通りにすらやろうとしない人」の差が明確になります。指導すべきポイントがクリアになり、マネジメントのコストも大幅に下がります。

もし、あなたの組織が「営業はセンスだ」「マニュアルはレベルが低い」という言葉で思考停止しているなら、一度その「聖域」を疑ってみてください。

そこには、言語化をサボっているだけの「偽の職人芸」が隠れているかもしれません。

泥臭い業務の標準化によって、あなたのチームの「本当の個性」を引き出すお手伝いができれば幸いです。

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

この記事を書いた人

コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku

債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立

保有資格

  • DX推進パスポートDX推進パスポート
  • JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)
  • COPC LEAN SIX SIGMA FOR CONTACT CENTERS YELLOW BELT CERTIFIEDCOPCリーンシックスシグマイエローベルト
  • コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
  • ビジネスキャリア検定(労務管理)
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    制定日2024年2月1日

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