Content
AIが進化して実務の難易度が上がる一方、入社してくる若者はSNS中心で音声会話に不慣れ。この未来の「深い溝」に備えるため、今コールセンターの研修担当者に求められるのは「教える技術」ではなく、新人の我慢を見抜く「コーチング力」である理由を解説。
今後、コンタクトセンターのAI化や自動化がさらに進みきった時、人間が担当する応対の難易度が今より一段も二段も高くなることは避けられません。定型的なスクリプトを読み上げるだけの仕事は機械に置き換わり、有人窓口には「正解のない、高度な対話」だけが残っていくからです。
しかし、ここで立ち止まって考えてみてください。
これから現場に新しく入社してくる若者たちは、一体どのような環境で育ってきた世代でしょうか。
彼らは幼い頃からSNSのテキストや映像メディアに囲まれ、リアルタイムの「会話(音声)」によるコミュニケーション(電話)の経験が、上の世代に比べて圧倒的に少ない状態で社会に出てきます。
「AIのせいで業務の難易度は上がっていく」のに、「入社してくる若者は音声対話に最も不慣れになっている」。
この先、現場で確実に大きくなっていく「深い溝」に対して、今ある古い教育体制のままで耐えられるでしょうか。ここに対する備えを今すぐ始めなければ、手塩にかけて育てた新人が数ヶ月で静かに去っていく「人材の回転ドア」を止めることはできません。
■ 「説明」と「説教」と「教育」がごっちゃになっていませんか?
業務が難しくなるからといって、これまで以上に分厚いマニュアルを配り、「しっかり覚えなさい」と一方的に詰め込むだけの研修は、今後の若者には通用しません。
現場の研修担当者やSVを見ていて、こんな状態に陥っていないでしょうか。 新人が動けない理由を「最近の若い子は……」と片付け、ただマニュアルをなぞるだけの「説明」をしたり、上手くできないことに対して「何でやらないの?」と詰め寄る「説教」をしたりしてしまう。
これらは「教育」ではありません。
「名選手、名監督にあらず」という言葉がある通り、現場でトップクラスの応対成績を誇る優秀なエースオペレーターが、そのまま「良いコーチ」になれるわけではないのです。
音声対話に怯えながら、難易度の上がった画面と格闘している新人に対して今度さらに求められるのは、教える側の「説明力」ではなく、新人の側で伴走する「コーチング能力」です。
■ 「大丈夫です」の裏にある我慢を見抜く
リアルな音声会話に慣れていない若者は、先輩や上司に対して自分の本音を上手く言葉にできません。「自分の意見を言うのは生意気だと思われるのではないか」という不安を抱えているケースも少なくないからです。
研修中に、担当者が「ここまでの内容、分かりましたか? 出来ますか?」と問いかけたとします。 新人はきっと、こう答えるはずです。 「はい、大丈夫です」
ですが、長年現場で苦楽を共にしてきた私から言わせれば、新人が言う「大丈夫です」は、「問題ありません」ではなく、「これ以上迷惑をかけたくないので、私が我慢します」という意味であることがほとんどです。
この小さなSOS(我慢)を見落としたまま、「本人が大丈夫と言ったから」と実戦の席に投入してしまうと、新人の心はある日突然ポキリと折れてしまうのです。
今後必要なコーチングとは、答えを一方的に教えることではありません。 新人の隣に座り、「出来ますか?」ではなく、「今、どこに一番不安がありますか?」と、相手の目線に合わせて問いかけ、胸の内にある本音を引き出してあげる技術です。
■ 研修担当者を「孤立」させない組織の備え
教える側のコーチング能力を高める。それは、現場の研修担当者個人に「もっと優しく教えなさい」と精神論を強いることではありません。
彼らもまた、日々のオペレーションと新人の早期離職のプレッシャーの間に挟まれ、孤独に悩んでいます。研修担当者が「孤独」から「孤立」へと追い込まれてしまえば、教育体制そのものが崩壊します。
だからこそ、今後やってくる難局に備え、「新人が辞めないための、教え方の仕組みと文化」を、今から組織全体に内製化しておく必要があるのです。
マニュアルの言葉(What)を新しくする前に、それを伝える人間(How)の関わり方を変える。 その仕込みを今から始めるセンターだけが、未来の優秀な人材を惹きつけ、自走する強い組織を育てることができるのです。
【WanderinConsulting(ワンダリンコンサルティング)】
私は、マニュアルの文字面だけを直して立ち去るコンサルタントではありません。 現代の若者の心理と、現場のSV・研修担当者が抱える孤独の双方に寄り添い、「人が定着する仕組み」そのものを3ヶ月で組織の中に構築します。
- 研修担当者を名コーチに変え、早期離職を防ぐ「新人オペレーター定着率改善プログラム(3ヶ月伴走支援)」
- 未来の業務高度化に現場が耐えられるかを診断する「DX準備診断パッケージ」
「最近の若手は……」と諦める前に、未来へ向けた教育体制のアップデートを一緒に始めましょう。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)










