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「また新人が辞めてしまった…」その原因、SVであるあなたの“無意識の一言”かも。新人の心を折り、早期離職に繋がる「詰問」と、信頼関係を築き定着を促す「対話」。その致命的な分かれ道を専門家が解説します。
「「また新人が辞めてしまった…」
「手塩にかけて育てたはずの新人が、なぜ定着せずに辞めてしまうのだろう…」コールセンターのSV(スーパーバイザー)やリーダーの方々から、このような人材育成に関する悲痛な叫びをお聞きすることがあります 。熱意を持って新人に向き合っているにも関わらず、なぜか心が通じ合わない 。その根深い原因は、SV自身が気づかぬうちに発している、たった一言の「伝え方の違い」にあるのかもしれません。
今回は、新人の心を閉ざし、早期離職の引き金となる「詰問」と、自発的な成長を促し、定着へと導く「対話」を分ける決定的な言葉の違いについて、具体的な事例をもとに掘り下げていきます。これは、採用と研修の無限ループから抜け出すための、ヒューマンマネジメントの根幹に関わるお話です。
あなたは「犯人探し」をしていませんか?:「なんでやってないの?」が新人の心を折る
想像してみてください。慣れない業務でミスをした新人オペレーターが、SVから少し強い口調でこう言われたとします。
「なんで、この後処理の入力をやってないの?」
この言葉を聞いて、新人是どう感じるでしょうか。「しまった、責められている」「自分の能力不足を指摘されている」と感じ、反射的に身構えてしまうのではないでしょうか 。
この「なんで〇〇しないの?」という問いかけは、もはや質問の形をした「詰問」です 。言われた側は、「この場所では安心して働けない」と感じ、思考を停止させ「申し訳ありません」と謝罪するしかなくなります 。
これでは、建設的な対話は生まれません 。SVは「やる気がないのか」と苛立ち、新人は「何を言っても怒られる」と心を閉ざす 。この負のスパイラルこそが、新人のエンゲージメントを静かに、しかし確実に蝕み、早期離職へと繋がっていくのです。
「理由」に寄り添う勇気:「なぜ、そう判断した?」が未来を作る
では、どうすればこの負のスパイラルを断ち切れるのでしょうか。ここで、先ほどのSVの言葉を、少しだけ変えてみましょう。
「この後処理の入力、まだみたいだけど、何か他の作業を優先したのかな?なんで今回は優先度が低いと判断したのか、理由を聞かせてもらえる?」
いかがでしょうか。言葉の印象が全く違うことにお気づきでしょうか。
後者の問いかけは、新人の「人格」や「意欲」ではなく、その「行動」と「判断」の背景にある「理由」に焦点を当てています 。責めるのではなく、「なぜ、その判断に至ったのか、あなたの考えを知りたい」という、対話と尊重の姿勢が示されています 。
こう問いかけられた新人は、「自分の状況を理解しようとしてくれている」と感じ、SVへの信頼が生まれます。この心理的安全性と信頼関係こそが、新人が安心して働き、成長していくための土台、すなわち「定着」の基礎となるのです。
「詰問」を「対話」に変える3つのステップ
この建設的なコミュニケーションは、意識すれば誰でも実践できます。明日から使える3つの具体的なステップをご紹介します 。
1.「You」ではなく「I」で伝える
「なんで(あなたは)やらないの?」という相手を主語にした詰問(Youメッセージ)をやめ、「(私は)あなたがこれを後回しにした理由が気になっているんだけど、教えてもらえる?」という、自分を主語にした依頼(Iメッセージ)に変えてみましょう。これだけで、言葉の棘が抜け、新人は安心して話を聞く態勢になります 。
2.「事実」と「解釈」を切り分ける
新人に声をかける前に、一呼吸おいて「事実は何か?(入力がされていない)」「自分の解釈は何か?(サボっているのでは?)」「どうなってほしいのか?(理由を知り、改善したい)」と頭の中で整理する癖をつけましょう。感情的な決めつけではなく、事実に基づいた冷静な問いかけができます 。
3.ポジティブな「なぜなぜ分析」を行う
「なぜ優先度が低かったの?」から始まる対話は、まさにトヨタ式の「なぜなぜ分析」です 。純粋な好奇心を持って掘り下げることで、個人の問題と思われた事象の裏に、マニュアルの不備や業務フローの欠陥といった、組織全体で取り組むべき「仕組み」の課題が見えてくるはずです 。
「採用と研修の無限ループ」に、終止符を。
新人の才能や意欲を「引き出す」のも「潰す」のも、SVであるあなたの言葉一つです。もし、あなたのセンターで上司と新人の間に見えない壁があると感じているなら、それは決して相性の問題などではなく、「言葉の選び方」という具体的なスキルで乗り越えられる課題なのかもしれません。
「また新人が辞めてしまった…」と、採用と研修の無限ループに、終止符を打ちませんか?
「採用と研修の繰り返し」に悩むSV・マネージャーのための解決策
私たちWanderinConsultingは、この根深い課題を解決するため、コールセンターの現場から生まれた専門的なプログラムをご提供します。
新人オペレーターが辞めない組織を作る「定着率改善」実践プログラム
こんなお悩みはありませんか?
- 手塩にかけて育てた新人が、研修期間中や独り立ち直後に辞めてしまう 。
- 採用コストと研修コストがかさみ、センターの収益を圧迫している 。
- SVが新人への指導や面談に時間を取られ、本来のマネジメント業務に集中できない 。
- 場当たり的な指導が多く、誰が教えるかによって新人の成長に差が出てしまう。
本プログラムが提供する3つの価値
1.財務的負債の解決
高い離職率という「財務的負債」を直接的に解決し、具体的な採用・研修コストの削減を実現します 。
2.マネージャーの負担軽減
SVやマネージャーの精神的・時間的負担を大幅に軽減し、本来注力すべき品質向上や戦略立案のための時間を創出します 。
3.「仕組み」の構築
一過性の研修ではなく、貴社に「人が定着する仕組み」そのものを構築し、持続可能で安定したセンター運営を可能にします 。
サービス内容(3ヶ月間のステップ)
私たちのプログラムは、以下の3つのフェーズで、貴社に「人が定着する仕組み」を構築します。
Phase 1: 診断フェーズ(現状把握・課題特定)
スタッフへの匿名アンケートやマネージャーへのヒアリング、各種KPI、マニュアル、実際の通話音声データなどを分析 。貴社の離職に関する本当の課題を特定し「組織診断レポート」としてご提出します 。
Phase 2: 計画フェーズ(改善計画の策定)
診断レポートに基づき、貴社と共同で現場で実行可能な具体的な改善アクションプランを策定します 。
Phase 3: 実行支援フェーズ(仕組みの導入と定着)
アクションプランを現場で実行するために必要なマネジメントスキル(例:本記事で扱った「対話」の技術など)を、実践的なトレーニング形式(例:2時間×3回)で提供します 。
プログラム概要
- 対象: Eコマース(通販)業界のコールセンター(15〜75席規模)に従事するマネージャー、SV様
- 期間: 約3ヶ月
- 価格: 150万円(税抜)
まずは、貴社の課題を私たちにお聞かせください。
私たちのコンサルティングは、単なる「コスト」ではありません。企業の財務的損失を食い止め、未来の成長に繋がるリターンが明確な「投資」です 。初回のご相談では、貴社の状況に合わせたROI(投資収益率)シミュレーションもご提示可能です 。まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)
COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)