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「伝えているのに伝わらない」その原因、情報の“重みづけ”かもしれません。コールセンターでの説明がわかりづらくなる原因のひとつが、基本情報と例外情報を同じボリュームで伝えてしまうこと。本記事では、情報を“使いやすく”伝えるための構造的な工夫と、現場で実践できる3つの対処法を紹介します。顧客対応の質を高めたい方に向けた、実践的なヒントが満載です。
基本情報と例外(イレギュラー)の情報を同じ情報量で説明すると、判り辛い
コールセンターの現場では、オペレーターが顧客に対して複雑な情報を分かりやすく伝えることが求められます。その中で意外と見落とされがちなのが、「情報の重みづけ」です。特に、基本情報と例外(イレギュラー)を同じボリュームで説明してしまうと、かえって混乱を招くことがあります。
この問題は、コミュニケーションスキルの中でも「情報設計力」に関わる重要なポイントです。伝える順番や強調の仕方を間違えると、顧客は「結局どうすればいいの?」と迷ってしまい、対応の品質が下がってしまいます。
なぜ「同じ情報量」で説明すると分かりづらくなるのか?
人は、情報の量や順序、強調のされ方によって「何が重要か」を判断します。たとえば、ある商品の返品ルールを説明する際に、
- 「通常は30日以内であれば返品可能です」
- 「ただし、開封済み・使用済み・セール品・特別キャンペーン商品・ギフト包装・海外発送・一部大型商品などは対象外です」
このように、基本ルールと例外を同じトーン・同じ長さで伝えてしまうと、顧客は「結局、返品できるのかできないのか」が分からなくなります。特にコールセンターでは、限られた時間の中で顧客の理解を得る必要があるため、「情報の優先順位づけ」が非常に重要です。
対処法:情報を“使いやすく”伝える3つの工夫
1.基本情報を先に、簡潔に伝える
まずは「原則」を明確に伝えましょう。たとえば、「基本的には30日以内であれば返品可能です」とシンプルに伝えることで、顧客は安心感を持ちます。
2.例外は“補足”として扱う
例外は「ただし」「一部例外として」といった接続詞を使い、補足的に伝えることで、情報の重みづけが自然に伝わります。例外が多い場合は、「詳細は別途ご案内しますのでご確認ください」と分けて伝えるのも有効です。
3.視覚的・構造的に整理する
マニュアルやFAQでは、箇条書きや表形式を活用して、「基本」と「例外」を明確に分けて記載することが効果的です。口頭でも「まず基本をお伝えします。その後、例外についてご説明します」と構造を示すだけで、理解度が大きく変わります
情報は、ただ正確であればいいわけではありません。「どう伝えるか」が、顧客満足度や対応効率に直結します。基本と例外を同じ重みで伝えてしまうと、かえって混乱を招くという落とし穴に、ぜひ注意してください。
私たちは、こうした“伝え方”の設計から、現場のマニュアル改善・トークスクリプトの最適化まで幅広く支援しています。「伝えているのに伝わらない」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
コンサルタント永久 圭一keiichi Nagaku
債権管理業務に計15年、コールセンター事業者2社(計13年)に在籍
SVや地方センターや在宅業務センターのセンター長等に従事後独立
保有資格
DX推進パスポート
JDLA Deep Learning for GENERAL (G検定)
COPCリーンシックスシグマイエローベルト
- コンプライアンス・オフィサー・消費者金融コース
- ビジネスキャリア検定(労務管理)